【VOCEビューティーチャンネル】コンテンツ一覧
VOCEビューティーチャンネル【公式】
2108VIEWS
VOCEビューティーチャンネル【公式】
今回は、新生活のスタートなど生活環境の変化を経て、長期休暇のGWを過ぎた今の時期に特に生じやすい、生理周期の乱れ=「生理不順」にまつわる疑問について、産婦人科医の福山千代子先生に教えていただきました。
MET BEAUTY CLINIC院長福山千代子先生
日本産科婦人科学会専門医。生理のトラブルや更年期障害など、あらゆる世代の女性の悩みに、20年以上真摯に向き合っている。親身なカウンセリングで、多様化する女性の悩みに合わせ、ホルモン療法、漢方薬処方、点滴などさまざまな角度から治療法を提案。
A. 正常な生理周期は25〜38日で、この範囲外なら生理不順です
福山先生:生理周期とは、生理が始まった初日から、次の生理が始まる前までの期間のことを言い、25〜38日が正常とされています。これよりも遅れて39日以上生理が来ない場合を「稀発月経」と言い、24日より早く生理が来る場合を「頻発月経」と言います。また、3ヵ月以上生理が来ない場合は、「無月経」です。
A. ストレスや急激な体重の変化によるホルモンバランスの乱れ
福山先生:生理不順は、ホルモンバランスが乱れることが大きな原因です。生理は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)が正しく分泌されていれば基本的に生理は順調に訪れますが、何らかの理由でホルモンの分泌に障害が起きると生理不順になるのです。
ホルモンバランスが乱れる理由としては、まずひとつはストレス。ストレスがあると、“今は妊娠している場合ではない”と体が排卵を止めてしまうからです。
引っ越しや職場での異動など、環境が変わることが多い4月を過ぎてしばらく経つ5月頃は、1年でも特にストレスがたまりやすい時期なので、生理不順になる人が少なくありません。睡眠不足や、多忙な仕事などもストレスになるので要注意です。
そのほか、体重が急激に増えたり、減ったりすることもホルモンバランスの乱れを招き、生理不順の原因になります。特に食事制限をするダイエットをして体脂肪率が15%以下になると生理不順になりやすくなり、10%以下になると生理が止まる可能性が高くなります。
A. 不妊の原因になることもあるので、放置するのはNG
福山先生:生理不順だと、妊娠したいと思って、子作りをするときに排卵のタイミングがつかみにくくなるのがデメリットです。
また、生理が止まったまま長く放置していると、自然に生理が戻りにくくなり、不妊を招きやすくなります。
さらに、生理が止まっているということはエストロゲンが正しく分泌されていないということでもありますが、エストロゲンには骨や血管を丈夫に保ったり、肌のうるおいを保ったりといった、女性の体を守るさまざまな働きがあるので、その恩恵が受けられなくなると、若いうちから閉経後のように、骨がもろくなったり、老化が進んでしまったりするという問題も起こります。“生理が来ないから楽だわ”などと放置せず、早めに婦人科を受診しましょう。
A. ホルモン剤や漢方薬などで治療します
福山先生:婦人科では、ホルモンの状態や子宮や卵巣の状態などを検査して、原因を調べたうえで、原因に応じた治療をします。また、そのときに妊娠を希望しているかどうかでも治療法が変わりますが、基本的にホルモン剤を用いて治療をします。
ホルモンバランスの乱れから排卵していない状態になっていて、妊娠を希望している場合には、排卵誘発剤を使って治療をします。
すぐに妊娠を希望していない場合には、プロゲステロンが正しく分泌されていない場合には、プロゲステロンを、プロゲステロンもエストロゲンも不足している場合には、両方を内服薬や注射で補う治療をしたり、低用量ピルを用いたりといった方法で治療をします。
基本的にはこういった治療をしばらく続けることで、生理が来るようにすると、その後は生理周期が整うケースが多いです。ただし、生理が来ないのを放置していた時間に比例して、治るのにかかる時間も長くなります。
また、比較的症状が軽い人や、ホルモン治療を希望しない人、体質的にホルモン治療が向かない人などには、漢方薬で治療をすることもあります。
A. 生活習慣を見直して、ストレスをためないようにし、食事をきちんと摂ること
福山先生:病院で治療をしていても、たとえばストレスがあったり、極端なダイエットをしていたりしたら治らないので、こういった原因を改善することは不可欠。ストレスがある人は、自分なりのストレス解消法を見つけて、ためこまないようにし、十分に睡眠をとったり、生活リズムを整えたりと、基本的な生活習慣を見直しましょう。極端なダイエットは避けて、しっかりと食事を摂って栄養を補うことも大切です。
また、そもそも自分の生理周期を把握していない人もいますが、将来的に、妊娠を希望している場合、排卵が正しく行われているかを含めて自分の生理周期を知ってくことは大事。そのためにも、普段から基礎体温をつけることがおすすめです。
基礎体温は、基礎体温計を用いて、朝起きてすぐに計測します。生理中から次の排卵までは低温期が続き、排卵後は高温期に移行するという二相に分かれていれば排卵があったということですが、ずっと体温が一定なら無排卵の可能性があります。
普段から基礎体温を測っておけば、婦人科を受診したときの診察もスムーズなのでぜひ習慣にしてみてください。
▼関連記事
【VOCEビューティーチャンネル】コンテンツ一覧
VOCEビューティーチャンネル【公式】
2108VIEWS
※本記事は講談社VOCE編集部が作成した内容をFiNCで掲載しております。
取材・文/和田美穂 Edited by 沈 晨棟
#VOCE #PMS #フェムテック #ボディケア #生理 #2022
投稿ID:5359